Sun sets in the sea

May 1st Friday

 

いつの間にか5月。

今日でER最終日。

最後に追加でいれたこの日はとても面白い経験にあふれることになった。

 

沢山の患者さんを診察できるよう願いながらERに向かったけど、実際にはTraumaがひっきりなしにやってくる。

その中で印象的だった2例を紹介。

 

腹部がえぐれて露出していると連絡が入ってきた患者さん。

18歳男性で、状況は不明だがトラックに轢かれたらしい。

腹直筋がほぼ露出し、右側の鼠蹊部が全露出、大腰筋が半分切れて大腿骨頭部は半分に切れていた。

大腿動脈は当然触れない。

この状況でもまだ意識はあり、運ばれてきたときには鎮痛されていたけど相当痛かっただろう。

 

RBCFFPを流しまくって初期治療を終えるとORへ上がって行ったけど、スタッフの間でも助かるかは意見が割れていた。

右の下腿は絶望的だろうけども...。

 

この患者にERの総力を挙げてあたっている間にもまた別の交通外傷が運ばれてくる。

人手が足りず、Trauma Surgeryの実習を終えたばかりの4年生がE-FASTをしていた。

自信を持ってnegativeを告げる姿に圧倒される。

 

その後に運ばれてきたのは囚人。

刑務所内での乱闘で受傷したとのこと。

来院時は手錠+脚錠で、診察中も足錠は外されなかった。

日本でこういったことはあるのか?

聞いたことはないけど...。

 

自分でしっかりと診察したのは1人だけだった(Traumaが多すぎてベッドを空けるペースが追い付かない)。

左側頭痛・顔面麻痺に加え、両眼の外転ができないという高齢の男性。

当ててくれる時にすでに

「うわーLPしないといけないのかーできればしたくないよー」

とResidentが言っていたので、なかなか激しい症状なのは分かった。

 

神経診察はほぼフルでしなければならないし、なにより論理的に行うのがとても難しい。

ので、いつも緊張しながらベッドサイドへ向かうのだけど、今回ほどはっきりと、しかもたくさんの徴候が出ているひとは初めてだった。

本当に外転は全くできず、左の表情筋も完全麻痺。

頭痛はこめかみを中心として広がっているとのことだった。

 

CNⅥ・Ⅶがダメージを受けているのは分かったけども、じゃあ何が原因かのアセスメントには全く知識が追い付かない。

幸いこの人は紹介状ももっており、海綿静脈洞付近に瘤ができているのではないかとのこと。

ERで詳しく診るべきではないと判断され、痛みどめで様子をみながら神経内科にコンサルト。

結局どうだったのかは分からない。

 

この症例をプレゼンしていて、訴えや症状を並べていく自分はResidentに

「ちょっと待って、まず何が一番問題なの?」

と聞かれてしまった。

1か月間、ERというスピードが求められる場で実習してきて、「必要なことを、コンパクトに」プレゼンすることを学んできたつもり。

ただ、1か月たってもまだまだ全然できていないということを痛感する最終日。

まあ、たった4週間でできるようになる方がおかしいかもしれない。

 

でもきっかけとなるにはきっと十分。

こちらのResidentやAttendingが話しているのは、内容やスピードに注意しながら聞いていたつもり。

思いだしながら、日本に帰っても彼らに近づけるように練習していこう。

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最後の夕食はDr. Hoonご一家と。

日本ではあまりみないタイ料理を頂きました。


 

明日の夜、ワシントンへ移動します。